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北海道大学 医学部保健学科
大学院保健科学院
大学院保健科学研究院

マウスモデルにおける重症インフルエンザ時の血漿リピドームプロファイルの解明(健康科学分野 Bomme Gowda SIDDABASAVE GOWDA准教授/惠 淑萍教授)

ポイント

  • 雄性C57BL/6マウスにおけるPR8ウイルスの亜致死および致死感染について明らかにした。
  • 重症インフルエンザ感染時の血漿脂質プロファイルを解析した。
  • 致死感染中期におけるPUFAを含むPEおよび関連遺伝子の上昇が観察された。

概要

インフルエンザウイルス感染は脂質代謝に影響を与えることが示されているが、その詳細は不明である。そこで我々は、アンターゲットリピドミクス解析を用いて複数の脂質分子種を測定することにより、異なる用量のインフルエンザウイルスA/Puerto Rico/8/34(H1N1)(PR8)に感染したマウスの動態脂質プロファイルを解明した。C57BL/6雄マウスにPR8ウイルスを50または500プラーク形成単位で経鼻感染させ、それぞれ亜致死または致死量のインフルエンザを発症させた。感染後1、3、6日目(dpi)に血漿と組織サンプルを採取し、高速液体クロマトグラフィー-リニアトラップ四重極-オービトラップ質量分析計を用いて包括的なリピドミクス解析を行い、遺伝子発現解析も行った。致死感染マウスにおける脂質プロファイルの最も顕著な特徴は、3dpiにおける多価不飽和脂肪酸(PUFA)を含むホスファチジルエタノールアミン(PE)の血漿中濃度の上昇であった。さらに、組織サンプルの遺伝子発現とリピドミクス解析により、肝臓ではなく肺でPUFA含有リン脂質の産生が促進されていることが示唆された。他のウイルス感染症患者、特に重症例において、PUFA含有リン脂質の血漿中または血清中濃度が上昇していることから、循環中のこれらのリン脂質の上昇は、感染症および感染症の重症度のバイオマーカーとなる可能性がある。

出版情報

・論文タイトル
The elucidation of plasma lipidome profiles during severe influenza in a mouse model

・著者
Marumi Ohno1,2, Siddabasave Gowda B. Gowda3,4, Toshiki Sekiya1, Naoki Nomura1, Masashi Shingai1,2, Shu-Ping Hui3, Hiroshi Kida1,2*
1 International Institute for Zoonosis Control, Hokkaido University, Sapporo, Japan
2 Institute for Vaccine Research and Development (HU-IVReD), Hokkaido University, Sapporo, Japan
3 Faculty of Health Sciences, Hokkaido University, Sapporo, Japan
4 Graduate School of Global Food Resources, Hokkaido University, Sapporo, Japan
* 責任著者

・ジャーナル
Scientific Reports
(IF: 5.0 (2021), MULTIDISCIPLINARY SCIENCES カテゴリーランキング25.7%)

・DOI
10.1038/s41598-023-41055-y

・掲載日
2023年8月30日

お問い合わせ先

北海道大学大学院保健科学研究院 健康科学分野
准教授 Bomme Gowda SIDDABASAVE GOWDA / 教授 惠 淑萍
E-mail:gowda[at]gfr.hokudai.ac.jp / keino[at]hs.hokudai.ac.jp [at]を@に変えてください

投稿日: 2024年03月11日

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