地域で暮らす高次脳機能障害者の家族介護者を対象に、保健科学の視点から支援の在り方を検討しています。高次脳機能障害は、脳血管疾患や脳外傷などによる認知・遂行機能障害を伴い、患者数の増加が国内外で報告されています。こうした変化を受け、地域での包括的な支援体制の構築が求められています。従来、家族介護者の負担軽減が主な研究課題とされてきましたが、我々の研究では、介護者の適応力を高め、生活の質の向上を図る視点を重視しています。その一環として、適応力を促進する支援プログラムを開発し、全国の家族会の協力を得て無作為化比較試験を実施しました。研究成果は、家族介護者への新たな支援方策の確立に寄与し、健康科学の発展と地域における介護支援の充実に貢献することが期待されます。この研究の一部は、国際誌 PLOS ONE 等に掲載されています(https://doi.org/10.1371/journal.pone.0273278)。

岩田 由香 Yuka IWATA
講師
博士(看護学)
専門分野
1. 地域看護学
2. 在宅看護学
3. 公衆衛生看護学
研究テーマ
・地域在住高次脳機能障害者の家族介護者の生活を支える技術に関する研究
・地域在住高次脳機能障害者の家族介護者のwell-being評価に関する研究
自己PR
人と社会の在り方が変容し、健康課題が多層化する現代において、生涯にわたり健やかに暮らせる社会の実現は喫緊の課題です。人口動態の変化や社会経済の不確実性が増す中、健康の維持・増進には従来の枠組みを超えた新たなアプローチが求められています。こうした課題に対応するため、様々な人々の健康と安寧を支えることを目的に、予防を重視し、エビデンスに基づく実践的な方策や技術の開発に取り組んでおり、今後も科学的知見を社会に還元し、より持続可能で包括的な健康支援のあり方を探求していきたいと考えています。
受験者へのメッセージ
社会には、未だ解かれぬ問いや課題があり、救いを求める声が存在します。研究には、それらを解決へと導く大きな可能性があります。私たちとともに、保健科学を基軸とし、「世のため、人のため」に貢献する研究に挑戦してみませんか。