神経解剖学では細胞の形態や分子局在を解析することを目的としています。
私が研究対象としている小脳は運動学習や協調運動に関わる脳領域として知られ、プルキンエ細胞を中心とした整然とした構造を持っています。これまで私は正常な小脳回路発達にはプルキンエ細胞への興奮性入力である登上線維と平行線維の競合が必須であることを明らかにしてきました (Miyazaki et al., 2004; 2012)。この競合は発成体期においても存在し (Miyazaki et al., 2010)、神経細胞の補佐役であるグリア細胞も関わっていることもわかりました (Miyazaki et al., 2017)。この研究結果は分化したニューロンが外界の環境変化に応じて神経回路再編を行うことができる可能性を示唆しています。我々はこの知見を神経障害時における適切な回路再編へと適用していきたいと考えています (Miyazaki et al., 2021)。
