採血や点滴の針を刺す末梢静脈穿刺の失敗により苦しむ患者さんを減らしたいと考え、研究に取り組んでいます。
末梢静脈穿刺は入院患者さんの約80%と多くの方が経験します。しかし、高齢患者の初回失敗率は約40%と成人患者(12–30%)より高いです。このような末梢静脈穿刺の失敗は、疼痛や合併症リスク、治療開始遅延といった患者さんへの不利益が生じます。末梢静脈穿刺を成功させるためには、静脈を十分に拡張させることが重要です。
私は、どのような方法が静脈拡張を促すのか、人を対象とした実験研究により、臨床看護師が実践している手技の効果を検証しています。これまでの研究結果より、ホットパックやビニール袋に包んだ温タオルを用いた温罨法は、末梢静脈穿刺の成功率が低い高齢患者においても推奨できることが明らかになりました。臨床現場の課題を解決し、社会に還元できる研究を目指したいと考えています。