リハビリテーションのコアとなる運動療法が他の治療法と異なる特徴として、対象者が主体的に神経活動を動員して運動を繰り返すことにより、目的とする機能を獲得する過程にあります。運動は運動機能の促進のみならず、認知症をはじめとする中枢神経系の退行変性疾患の「予防」に対しても効果があることが注目されています。その背景として、運動は中枢神経の可塑性促進や保護作用もつ脳由来神経栄養因子(BDNF)等の有用な因子の発現を増強し、機能維持・改善に働きます。
当研究室では運動のもつ広範な効果について、老化促進モデル動物や脳卒中モデル動物を用いた神経科学的な基礎研究を行っています。リハビリテーションにおける運動の有する可能性について、中枢神経系疾患の運動療法効果を促進させるニューロモジュレーション、運動による認知機能を含む中枢神経系の退行抑制効果、運動とピジェネティクス調整機構の関係について研究を進めています。