限られた医療資源をどのように活用し、患者の予後改善と社会復帰を支えるかは、臨床だけでなく医療政策の視点からも重要な課題です。私は集中治療室(ICU)看護師としての経験を背景に、大規模医療データを活用した臨床疫学研究やヘルスサービスリサーチに取り組んでいます。
これまで、約7万例のDPCデータを用いて早期リハビリテーション推進の経済的インセンティブが患者アウトカムに与える影響を評価し、医療政策が臨床現場に及ぼす効果を示しました。また、ICU再入室や院内死亡リスクを予測するモデルを構築し、医療資源の最適配置や予防的介入の可能性を探っています。今後は、ICU退室後に生じる身体的・精神的問題に伴う離職や生活習慣の変化を可視化し、患者の心理・社会的側面も含めた包括的なアウトカム評価を目指します。データに基づくエビデンスを通じ、疾病予防・治療から医療制度の改善まで幅広く貢献するデータヘルス研究を展開していきます。