人工呼吸器は、新生児集中治療室(NICUや特別支援学校など)の使用される環境により、異なる知識・技術が求められる医療機器です。NICUにおけるケア経験が、在宅サービスにおいて活かせる部分もありますが、人工呼吸器装着児(者)の自立と社会参加を目指した支援は、プライマリケア専門家の力量が問われる領域となります。しかしながら、人工呼吸器シミュレータが高価なことからOn the Job Trainingが主流となっており、新卒看護師が「教育と臨床の乖離」を経験する一因となっています。
我々は、在宅人工呼吸器装着児をはじめとする医療的ケア児とその家族への支援の一環として、ダイナミックプロジェクションマッピング技術を援用した気管内吸引シミュレータEndotracheal Suctioning Training Environment SIMulator(ESTE-SIM)を共同開発してきました。本シミュレータは、気管内吸引カテーテル操作の巧緻により、プロジェクターから患者マネキンに投影される表情と顔色変化、模擬パルスオキシメータの数値を変化させることで生体反応を呈示し、学習者が臨床に近い環境で安全に反復トレーニングができる環境を提供します。現在、関心を持ってくださる複数の大学様・企業様のご協力により、実用化に向けた共同開発を進めています。
特許取得
特許第7388652号 気管内吸引の訓練装置
発明者 コリー紀代、近野敦、金井理、小水内俊介、二宮伸治
特許第6980203号 気管内吸引技術学習装置
発明者 コリー紀代、清水弘美、髙橋望、大塚健
北海道大学技術支援・設備共用コアステーション(CoSMOS)
R&T(Researcher & Technician)コラボプロジェクト
NICUと在宅・特別支援学校における人工呼吸器ケアの質向上のための360度動画教材開発
▸▸ 紹介記事:CoSMOS 研究支援人材広報誌「Specialist」3号