医療への公平なアクセスは、多くの国や地域で社会的な課題です。適切に医療にアクセスできないことで、病期の診断や治療が遅れたり、定期的な健診を受けられなかったりと個人の健康格差に影響します。医療へのアクセスには空間的な要因と非空間的な要因があります。空間的な要因は、生活圏に医療機関があるか、医療機関までの交通手段があるか、医療従事者や設備が十分かといったものを含みます。非空間的な要因は、保険制度、収入や文化、健康に関する知識、医療への信頼などを含みます。
これまで、空間的な要因に着目し、医療情報と地理情報を組み合わせながら、救急医療や訪問看護へのアクセスの地域差やその影響の評価、地域差を少なくするための解決策の提案を目指して研究を進めてきました。さらに、医療技術の費用対効果を評価する研究にも取り組んでいます。新しい技術の費用対効果を適切に評価することは、医療技術に適切な価値づけを行うことであり、保険制度を通じて、医療への公平なアクセスにおいて重要な課題です。