インド産ミレットの非標的型液体クロマトグラフィー質量分析法を用いた脂質プロファイリング(健康科学分野 Bomme Gowda SIDDABASAVE GOWDA准教授)
ポイント
- 主要なインド産食用ミレット品種を対象に、非標的型液体クロマトグラフィー質量分析法に基づく包括的脂質オミクス解析を実施し、その脂質組成の解明に成功。
- ミレット試料中に、代謝調節作用および抗炎症作用が期待される生理活性脂質であるヒドロキシ脂肪酸脂肪酸エステル(FAHFAs)を同定。
- ミレットに含まれる多様な脂質分子種を明らかにするとともに、その栄養学的および機能性脂質プロファイルに関する新たな知見を提供。
- 本研究成果は、ミレットが生理活性脂質の供給源となり得ることを示し、代謝健康の改善および持続可能な栄養のための機能性食品としての開発への応用に期待。
概要
ミレットは、持続可能で栄養価の高い穀物として近年世界的に注目を集めています。しかし、その複雑な脂質プロファイルに関する包括的かつ体系的な情報は依然として限られており、特に生理活性脂質の観点からの詳細な解析は十分に進んでいません。
そこで本研究では、一般的に消費されているインド産ミレット品種を対象に、非標的型液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)に基づく脂質オミクス解析を実施し、ミレットに含まれる脂質組成の網羅的解析を行いました。その結果、高分解能解析により、複数の脂質クラスにわたる多様な脂質分子種を同定しました。
特に、本解析により、抗炎症作用や代謝調節機能を有する可能性が報告されている生理活性脂質であるヒドロキシ脂肪酸脂肪酸エステル(FAHFAs)の存在を見出しました。一方で、これらの脂質は従来ミレット中では十分に注目されていませんでした。したがって、ミレットはこれまで十分に認識されてこなかった有益な脂質の食事由来供給源となり得ると考えられます。
さらに、本研究成果は、ミレットに含まれる脂質の多様性に関する新たな知見を提供するとともに、代謝健康の維持および持続可能な栄養に資する機能性食品としての応用可能性を示しました。

出版情報
研究論文名:Comprehensive lipidomic profiling of dietary Indian millets and identification of fatty acid esters of hydroxy fatty acids by untargeted LC/ MS
著者:Kumari Suraksha1, Divyavani Gowda2, Chandra Nayaka Siddaiah3,
Tara Satyavathi Chellapilla4, Shu-Ping Hui2, Siddabasave Gowda B. Gowda1,2
1Graduate School of Global Food Resources, Hokkaido University
2Faculty of Health Sciences, Hokkaido University
3Department of Studies in Applied Botany and Biotechnology, University of Mysore
4Indian Council of Agriculture Research- All India Coordinated Research Project on Pearl Millet
ジャーナル:Food Chemistry
※IFおよびカテゴリーランキング:IF = 9.8 and Ranking = Top 5% (Q1)
DOI:https://doi.org/10.1016/j.foodchem.2026.148792
掲載日:2026年3月7日
お問い合わせ先
北海道大学大学院保健科学研究院
Dr. Siddabasave Gowda B. Gowda
E-mail:gowda[at]gfr.hokudai.ac.jp [at]を@に変えてください