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北海道大学 医学部保健学科
大学院保健科学院
大学院保健科学研究院

ジャンプ着地におけるアキレス腱負荷を効果的に減らす指導法を発見 ― 股関節屈曲がカギ(リハビリテーション科学分野 越野裕太助教)

ポイント

  • ジャンプ着地時に、股関節を大きく曲げる、膝関節を大きく曲げる、着地音を小さくする、足底荷重位置を後方に寄せる、という指導によって、アキレス腱にかかる負荷が低下することが明らかになった。
  • 特に、股関節を大きく曲げる着地指導によって、アキレス腱にかかる負荷が大きく低下し、同時にアキレス腱の負荷率も低下することが明らかとなった。
  • 股関節を大きく曲げる着地指導は、アキレス腱障害の予防やリハビリテーションに安全で有効な戦略になり得る。

概要

アキレス腱障害はランニングやジャンプを行う競技者に多く発生し、その予防やリハビリテーションにおいてはアキレス腱にかかる負荷の管理が重要とされています。そこで本研究では、ジャンプ着地時の指導方法の違いがアキレス腱負荷に与える影響を検討しました。

健康成人を対象に、5種類の着地条件(指導なしの自然条件、股関節屈曲を大きくする条件、膝関節屈曲を大きくする条件、着地音を小さくする条件、荷重位置を後方に寄せる条件)で両脚によるドロップジャンプを実施しました(図1)。三次元動作解析と床反力計を用い、アキレス腱負荷、負荷率、関節角度、床反力を評価しました。

図1. 着地指導条件

その結果、すべての着地指導条件において、自然条件と比較してアキレス腱のピーク負荷が有意に低下しました(図2)。特に「股関節屈曲を大きくする」条件では他条件より大きく低下し、同時に負荷率も減少しました(図2)。一方、「足底荷重位置を後方に寄せる」指導ではピーク負荷は減少したものの、負荷率や床反力が増加し、硬い着地となることで他の外傷リスクを高める可能性が示唆されました。 本研究の成果は、アキレス腱障害の予防やリハビリテーションにおける有効な着地指導法を示すものであり、特に「股関節を大きく屈曲する」指導が安全かつ効果的なアプローチであることを明らかにしました。

図2. アキレス腱負荷の最大値(左図)とアキレス腱負荷率(右図)の各指導条件による違い.*は自然条件との比較,†は静かな着地条件との比較,‡は膝関節屈曲条件との比較,§は後方荷重条件との比較を示す.

出版情報

・研究論文名
Effects of Landing Instructions on Achilles Tendon Load: Emphasizing Hip Flexion as the Optimal Strategy

・著者
Yuta Koshino, Mina Samukawa, Tomoya Ishida, Harukazu Tohyama
Faculty of Health Sciences, Hokkaido University, Sapporo, Japan

ジャーナル
Knee Surgery, Sports Traumatology, Arthroscopy
※IFおよびカテゴリーランキング:5.0(ORTHOPEDICS 7/139=5.0%)

DOI
https://doi.org/10.1002/ksa.70006

掲載日
2025年8月29日

お問い合わせ先

北海道大学大学院保健科学研究院
越野 裕太
E-mail:y-t-1-6[at]hs.hokudai.ac.jp [at]を@に変えてください

投稿日: 2025年09月26日

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