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北海道大学 医学部保健学科
大学院保健科学院
大学院保健科学研究院

カテプシンC阻害剤の⾎管炎治療効果を証明〜ANCA関連⾎管炎の新規治療薬として期待〜(病態解析学分野 ⽯津明洋教授)

ポイント

  • カテプシンC阻害剤がラットANCA関連⾎管炎モデルの病変を改善。
  • カテプシンC阻害により、ANCA関連⾎管炎モデル内で⽣じる病因物質NETsが減少。
  • NETsが病因となる様々な疾患に対する新規治療開発の進展に期待。

概要

北海道⼤学⼤学院保健科学研究院の⻄端友⾹助教、益⽥紗季⼦講師、⽯津明洋教授らとアリヴェクシス株式会社の共同研究グループは、NSP1 の成熟を司るカテプシンC の作⽤を阻害することによ り、NETs2の形成が抑され、NETsが病因となっているANCA*3関連⾎管炎を改善することを、動物モデルを⽤いて初めて⽰しました。

NETs の形成には成熟したNSP の働きが必須であることから、研究グループは、カテプシンC の酵素活性を阻害することでNSP の成熟が妨げられ、病因であるNETs が形成されなくなることによってANCA 関連⾎管炎が改善する、という仮説を⽴てました。本研究では、ANCA の産⽣とともにANCA関連⾎管炎を発症する動物モデルを作製し、この動物モデルにカテプシンC阻害剤を経⼝投与しました。本研究で使⽤したカテプシンC阻害剤はアリヴェクシス株式会社において開発された新規化合物であり、カテプシンCに対する⾼い特異性と阻害活性を有しています。

カテプシンC阻害剤を投与された動物モデルでは、末梢⾎中に検出されるNETs形成好中球や腎臓に沈着するNETsが激減し、臨床像としても⾒られる腎⽷球体障害並びに肺出⾎が軽減しました。本研究の成果は、ANCA関連⾎管炎をはじめNETsが病因となっている種々の疾患に対し、カテプシンC阻害が有効な治療戦略となることを⽰しています。

ANCA 関連⾎管炎動物モデルの腎⽷球体病変とカテプシンC 阻害剤による改善効果。
疾患群の⽷球体には、NETsマーカーであるCit-H3*4(⾚)が陽性となる好中球(緑)が観察され、⽷球体⽑細⾎管が破れて(↓)ボウマン嚢内に⾎液成分が浸出している。低⽤量治療群と⾼⽤量治療群に浸潤する好中球にNETsマーカーであるCit-H3は観察されず、⽷球体は正常形態を保っている。Bar, 50 μm

なお、本研究成果は、⽇本時間2024年8⽉22⽇(⽊)Nature Communications 誌に掲載されました。

論文名:Cathepsin C inhibition reduces neutrophil serine protease activity and improves activated neutrophil-mediated disorders(カテプシンC阻害は好中球セリンプロテアーゼの作⽤を抑制し活性化好中球が関与する疾患を改善する)
URL:https://doi.org/10.1038/s41467-024-50747-6

※詳細は、北海道大学プレスリリースをご覧ください。

投稿日: 2024年09月06日

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