成熟度の高い軟骨オルガノイド作製法の開発に成功~軟骨、骨、骨髄の発生機構解明や再生医療への貢献に期待~(病態解析学分野 田村彰吾准教授)
ポイント
- 3次元培養で骨髄間葉系幹細胞から成熟度の高い軟骨オルガノイドを作製することに成功。
- 基底膜抽出混合物の混和で骨髄間葉系幹細胞から軟骨細胞への分化・成熟が促進することを解明。
- 軟骨、骨、骨髄形成のメカニズム解明や再生医療マテリアルとしての発展に期待。
概要
北海道大学大学院保健科学院修士課程1年の能藤日向子氏、同大学大学院保健科学研究院の田村彰吾准教授らの研究グループは、3次元培養による骨髄間葉系幹細胞の分化誘導で軟骨オルガノイドを作製する方法として、基底膜抽出混合物を混和する方法を考案し、従来法に比べて大型化かつ組織成熟度の高い軟骨オルガノイドの作製に成功しました。
基底膜抽出混合物の混和は骨髄間葉系幹細胞の軟骨細胞系統への分化を促進するとともに、軟骨から骨への転換及び骨髄形成に関わる遺伝子の発現増強をもたらすことが明らかになりました。本研究成果は軟骨、骨、骨髄が形成されるメカニズムを解明する手がかりになるとともに、これらの臓器・組織に関わる疾患の病態解明や創薬研究への応用、さらには再生医療マテリアルとしての発展が期待されます。本研究は、名古屋大学医学部附属病院輸血部の松下正教授ら、国立長寿医療研究センターの勝見章血液内科部長らのグループも共同研究として参加しています。
なお、本研究成果は、2024年1月30日(火)オンライン公開のBiochemical and Biophysical Research Communications 誌に掲載されました。
論文名:Basement membrane extract potentiates the endochondral ossification phenotype of bone marrow-derived mesenchymal stem cell-based cartilage organoids(基底膜抽出混合物は骨髄間葉系幹細胞由来軟骨オルガノイドの内軟骨性骨化形質を促進する)
URL:https://doi.org/10.1016/j.bbrc.2024.149583
※詳細は、北海道大学プレスリリースをご覧ください。