北海道大学医学部保健学科/大学院保健科学院/大学院保健科学研究院

保健科学院長メッセージ

本大学院保健科学院は、平成20年(2008年)4月(北海道大学内で17番目)に設置された比較的新しい大学院です。学部における5つの専攻、すなわち、看護学、放射線技術科学、検査技術科学、理学療法学、作業療法学の各国家試験受験資格を得る専門教育課程を背景に、より専門性を高めることはもちろんのこと、(全学的にも)異なる学術領域を超えた横断的な拡がりとそれらを結びつける総合的な視座をもつことをねらいとしています。そして修士課程では、医療専門職における指導・管理能力の修養も強く要求されます。また博士後期課程では、それまでに学んだ深く広範な知識や技術を元に、暖めていたアイディアや発見を新しい独創性のある研究成果として結実させ、世に問うことを求められます。

本保健科学院では、保健科学と看護学に区分された2つのコースの中に、学部の専攻と対応する科目群に加えて、修士課程保健科学コースに、環境健康学、人類生態学、高次脳機能学、保健情報学などの高度化を目指す健康科学科目群を設置しています。また修士課程看護学コースでは、公衆衛生看護学科目群、助産学科目群、高度実践看護学科目群が加わり、保健師や助産師の養成と高度化を進めるとともに、高度実践看護学科目群では2018年より、がん看護専門看護師の養成を目指す新たな実践教育プログラムが始まりました。これらコースに加えて、修士課程又は博士後期課程の2年次から小樽商科大学大学院商学研究科のMBA (経営管理修士)特別コースへも進学でき、本科学院の学位(保健科学又は看護学)と小樽商科大学MBAの二つの学位(ダブルディグリー)を取得することが可能となっています。また2018年より、全学の大学院生や社会人を対象に、病院経営にてリーダーシップを発揮できる人材の育成を目指す「病院経営アドミニストレータ育成プログラム」も始まっています。さらに本学院は、北海道大学内の複数大学院とJICAが連携し大学院教育を通じて発展途上国への国際貢献を進める「JICA開発大学院連携プログラム」にも参画しています。

昨今の医学と医療における課題は多岐にわたり、移植・再生医療、遺伝子治療、感染症対策、少子・高齢社会や生活習慣病への対処など、枚挙にいとまがありません。現在に繋がる日本の医学は、主として江戸時代にもたらされた西洋医学に端を発し、その後、幕末の多くの内戦等による負傷者の手当てに強い効果を発揮するとともに、古くから不治の病と恐れられていた疾病に対して、解剖学や細菌学などを通した科学的な根拠に基づく処置をもたらしました。いわばケガや疾病との闘いが、医学の発展の原動力であったといえます。しかし今日、こうした「対処としての医療」にも増して、健康体もしくは病気等の前段階における予防と予知、健康維持・増進(殊に精神的な健常維持)、そして治療後の更正や老化への適切な対応が、切実に求められるようになっています。この趨勢のもと、保健科学とは、「より良く生きるための支援」を目指し、広い意味での医学に属しながらも、大多数の人間が抱える今日的問題に正面から向き合い、既存の医学と連携しつつ社会の要請を見据えて進むべき、実践を重視した学術領域であるといえるのです。

北海道大学は、日本で最も多くの学部や研究施設を有する大学の一つです。大学院に重点を置く総合大学としての環境は整っています。どの課程でも、大切なことは、称号を得ることではなく、専門家としての実力を身につけ人格を陶冶するとともに、修得したことや新たな知見をその後の活動に(あるいは人生に)生かすことにあると考えます。そのためには、「知ること」だけでは充分ではなく「それを使うこと」、また「やる気」だけでは充分ではなく「実行すること」、が重要であるに違いありません。

この保健科学院で精一杯学び、皆さんが高度医療を担うリーダーとして、国内はもとより国際舞台で活躍されることを大いに期待します。

大学院保健科学院長 伊達 広行

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