和髙一希さん(助産学科目群修了生)の修士研究が日本母性衛生学会学術論文優秀賞を受賞!
2024年3月に北海道大学大学院保健科学院修士課程助産学科目群を修了した和髙一希さんと、大学院保健科学研究院の蝦名康彦教授による原著論文「高等学校における月経教育:実態と教育提供者の困難感」が、公益社団法人日本母性衛生学会の2026年度「学術論文優秀賞」を受賞しました。
受賞論文は、和髙さんが大学院在学中に取り組んだ修士研究をもとにまとめたものです。本研究では、全国の男女共学の全日制普通科高校から無作為に抽出した1,500校を対象に、保健体育教師または養護教諭に対して、高等学校における月経教育の実施状況と、教育提供者が感じている困難について調査しました。262校から回答が得られ、月経教育を実施していた高校は67.0%でした。一方、82.3%の教育提供者が現在の月経教育は十分ではないと感じ、72.2%が医療職など専門職の介入を希望していました。これらの結果から、高校生に月経に関する正しい知識を届けるためには、教育内容の充実に加え、教育を担う教員への支援、最新の情報を得られる環境の整備、さらに医療職など専門職との連携を進めることが重要であることが示されました。
本研究の意義は、月経教育を単に「生理の仕組みを教える教育」として捉えるのではなく、思春期から自らの身体や健康について正しい知識を持ち、必要なときに適切な相談や受診につながるための健康教育として、その基盤を整える必要性を示した点にあります。月経に伴う不調や困りごとは、学校生活や日常生活、将来の健康にも関わる課題です。そのため、高等学校における月経教育の充実は、生徒一人ひとりのヘルスリテラシーの向上に加え、月経について相談しやすい環境づくりや、学校と医療・保健の専門職との連携を進める上でも重要です。本研究成果は、今後の学校保健や思春期保健、月経教育のあり方を検討するための基礎資料として活用されることが期待されます。本論文は、日本母性衛生学会の学会誌『母性衛生』第66巻第1号(2025年)に原著論文として掲載されました。
日本母性衛生学会は、1959年に発足した、母性の健康に関連する医学、看護学、保健学を研究領域とする全国規模の学術団体です。助産師、医師、看護師、保健師、養護教諭など4,170名の会員を擁し、学術集会の開催、学会誌『母性衛生』の刊行、母性保健に関する研究・啓発活動などを行っています。
「学術論文優秀賞」は、同学会の機関誌『母性衛生』に掲載された原著論文の中から、「最も秀でた先駆的な学術論文」であり、母子保健の発展への貢献が大きいと評価された論文に授与される賞です。今回の選考対象となった『母性衛生』第66巻第1号・第2号・第4号には、計32編の原著論文が掲載されており、本論文はこれらの中から学術論文優秀賞に選ばれました。表彰は、2026年10月9日・10日に滋賀県大津市で開催された第67回日本母性衛生学会総会・学術集会において行われました。
今回の受賞は、大学院在学中の修士研究が原著論文として結実し、その学術的意義に加えて、高校生の健康教育や学校保健の充実につながる社会的意義が高く評価されたものです。
また、本教室では、2022年3月に大学院修士課程助産学科目群を修了した竹内瑞季さんも、2023年に日本母性衛生学会「学術論文奨励賞」を受賞しています。受賞論文は「産後うつ病に対する妊娠期の予防的介入の実施状況と実施に影響を与える因子に関する検討」です。今回の和髙さんの受賞とあわせ、大学院生が取り組んだ研究成果が継続して学術的に評価されていることを示すものとなりました。
【受賞論文】
和髙 一希、蝦名 康彦
「高等学校における月経教育:実態と教育提供者の困難感」
『母性衛生』66巻1号、71–79頁、2025年
【関連リンク】
日本母性衛生学会「学術論文賞・優秀演題賞・査読功労賞」
指導教員:蝦名康彦
受賞年月日:2026年10月9日