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北海道大学 医学部保健学科
大学院保健科学院
大学院保健科学研究院

2026年度第3回保健科学セミナー開催報告「Joint Seminar :Frontiers in Biomedical Sciences – From Disease Mechanisms to Innovative Therapeutics」(2026.07.08)

2026年7月8日(水)に第3回保健科学セミナーを開催しました。本セミナーは、National Taiwan University(国立台湾大学)臨床検査・医療バイオテクノロジー学科およびTaipei Medical University(台北医学大学)医学検査生物技術学科の学生・教員が本学検査専攻の見学にご来訪した機会に合わせて開催したものです。なお、両校と本研究院は部局間協定を締結しております。本セミナーでは、1演題目に国立台湾大学 Kuo准教授から、2演題目に台北医学大学 Pan准教授から、ご専門領域に関するこれまでの知見と最新の発見をご紹介頂きました。

1演題目の国立台湾大学 Kuo准教授からは「SERPINE1 in the spotlight: Linking obesity to radioresistance in breast cancer」と題してご講演頂きました。乳がんには4つのサブタイプが存在し、それぞれに応じて治療戦略が異なります。中でもトリプルネガティブ乳がん(TNBC)は、がん細胞がエストロゲン受容体・プロゲステロン受容体・HER2タンパク質のすべてが陰性という特徴を持っており、進行が早い浸潤性の乳がんとして知られています。一方、SERPINE 1はがんのバイオマーカーであり、特にTNBC細胞ではSERPINE1の発現量が高くなることもわかっています。Kuo先生のご研究では、肥満がある患者においては乳がんの転帰が悪いこと、マウスを用いた実験では食事性肥満の個体においてTNBCの放射線療法の治療成績が悪化したことをご報告頂きました。これらの内容はがんの治療につながるとともに、肥満にならない健康対策が重要であることを示すものです。

2演題目の台北医学大学 Pan准教授からは「Polymer-based vaccine delivery strategies to enhance adaptive immune responses」と題してご講演頂きました。がんの治療には抗がん剤治療や放射線療法がありますが、近年はがん免疫療法・がんワクチン療法が注目を浴びています。ただし、どうやってがん細胞に薬と免疫賦活物質(アジュバント)を届けるか課題となっており、様々な研究が行なわれています。Pan先生のご研究では薬とアジュバントをナノ粒子に包んでがん細胞に届ける手法についてご説明頂き、さらにハイドロジェル(ゼラチンや海藻由来のフコイダン等)と混ぜて投与することで樹状細胞への取り込み率が上昇すること、ハイドロジェルにより樹状細胞の免疫応答も促進されることをご報告頂きました。将来的には、こうしたハイドロジェルを用いたがん細胞への薬の送達が実用化されることが期待されます。

上記の2つのご発表はいずれもがんの治療に関する最新の発見であり、保健・医療分野を学ぶ研究者と学生にとって最先端の医学研究に触れることができる有意義なセミナーとなりました。

投稿日: 2026年09月03日

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