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北海道大学 医学部保健学科
大学院保健科学院
大学院保健科学研究院

2026年度第1回保健科学セミナー開催報告「目に見えないものを測定する:QOL、患者報告アウトカム」(2026.04.10)

2026年4月10日(金)に第1回保健科学セミナーを開催しました。本セミナーは、北海道大学大学院保健科学研究院公開講座委員会の主催により、研究者や大学院生等を対象に実施したものです。  本セミナーでは、立命館大学総合科学技術研究機構 医療経済評価・意思決定支援ユニット(CHEERS)の鈴鴨よしみ教授が、「目に見えないものを測定する:QOL, 患者報告アウトカム」と題して講演しました。

医療現場において客観的な臨床指標と患者自身が感じる症状・苦痛の間に生じる乖離を示し、両視点を補完する重要性を解説しました。QOLが持つ主観性・多要素性を踏まえた多角的な評価の必要性や、医療者の解釈を挟まない患者報告アウトカム(PRO)、評価者別の臨床アウトカム評価(COA)の整理について説明がなされました。さらに、目に見えない「構成概念」を可視化するための計量心理学的特性の検証(COSMIN分類)や、臨床的意味のある最小変化量(MID)の検討の不可欠性が示されました。評価尺度については、国民標準値と比較できる「包括的尺度(SF-36等)」、病状変化への感度が高い「疾患特異的尺度」、医療経済評価に用いる「効用値尺度(EQ-5D等)」が挙げられ、目的に応じた選択の重要性が強調されました。また、研究での介入効果分析にとどまらず、臨床における患者のスクリーニング、経時的モニタリング、電子患者報告アウトカム(e-PRO)を用いたリアルタイムな状態把握など、幅広く活用されている実践例が紹介されました。一方で、回答負担を軽減するCAT(コンピュータ適応型テスト)の活用、代理人回答における乖離、時間や病状の変化に伴い評価基準が変わる「レスポンスシフト」への対応など、解決すべき課題も具体的に提示されました。 測定理論の基礎から最新の活用事例、そして現場での課題までを一度に学ぶ貴重な機会となりました。標準化された尺度を用いて患者の状態を適切に可視化・活用することが、患者中心の医療やケアの質向上に不可欠であることを再認識するとともに、保健医療分野を学ぶ学生や研究者が、自らの専門性と今後の医療のあり方について考える有意義なセミナーとなりました。

投稿日: 2026年08月10日

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