リウマチ画像解析の学習データと AI ベンチマークを公開~1,048 手の X 線データセットがリウマチ診断支援の進化を加速~(医用生体理工学分野 神島保教授)
ポイント
- 手首 X 線マルチタスクデータセット「RAM-W600」を公開。
- セグメンテーションと標準的骨侵食スコアリングに対応し、高品質なアノテーションを提供。
- 関節リウマチ自動評価 AI ベンチマークとして活用可能で、診断支援やアルゴリズム比較を促進。
概要
北海道大学大学院保健科学研究院の神島保教授、同大学量子集積エレクトロニクス研究センターの池辺将之教授、同大学大学院保健科学院博士後期課程の王昊霖氏、東京科学大学工学院システム制御系の奥富正敏特任教授、博士後期課程の楊松暁氏、同大学総合研究院の欧亜非研究員らの研究グループは、関節リウマチ(RA)の診断支援に向け、手首 X 線画像に基づく初のマルチタスクデータセットと AI ベンチマーク*1を公開しました。
RA は代表的な自己免疫疾患であり、臨床現場では X 線画像が関節破壊評価に広く用いられています。特に手首は診断上重要な部位ですが、複雑な骨構造や疾患進行による骨変形のため、高精度なアノテーションが難しく、コンピューター支援診断(CAD)研究は限られていました。
研究チームは手首 X 線画像に基づく初の公的マルチタスクデータセット RAM-W600 を公開しました。対象は 388 名の患者のX線画像 1,048 枚で、618 枚に骨インスタンスセグメンテーション注釈、800 枚に標準的評価法である、Sharp/van der Heijde(SvdH)法による骨びらんスコアが付与されています。さらに、Unet、TransUNet などの代表的な深層学習アーキテクチャや、SAM といった基盤モデルを用いた多様な AI ベンチマーク実験が実施され、性能比較が行われました。
RAM-W600 は、RA 関連の多様な研究課題に資する可能性を有しています。また、手根骨骨折の局在化など、手首に関連する他の課題にも応用可能です。本データセットが手首領域における CAD研究の障壁を大幅に低減し、RA 研究及び臨床応用の発展を促進することを期待しています。
本研究成果は、2025 年 12 月 2 日(火)から米国サンディエゴで開催された AI 関連難関国際会議NeurIPS の Dataset and Benchmark Track で発表されました。また、2026 年 6 月 10 日(水)~12日(金)に横浜で開催される画像センシングシンポジウムにおいても発表される予定です。

学会情報
発表名:RAM-W600: A Multi-Task Wrist Dataset and Benchmark for Rheumatoid Arthritis(RAMW600:関節リウマチに向けた手首関節マルチタスクデータセットとベンチマーク)
著者:楊 松暁1、王 昊霖2、付 尭3、田 野4、神島 保5、池辺将之3、欧 亜非6、奥富正敏1
1東京科学大学工学院システム制御系
2北海道大学大学院保健科学院
3北海道大学量子集積エレクトロニクス研究センター
4東京大学生産技術研究所
5北海道大学大学院保健科学研究院
6東京科学大学総合研究院
学会名:NeurIPS2025(AI 関連難関国際会議)
開催日:2025年11月2日(火)~12月7日(日)
※詳細は、北海道大学プレスリリースをご覧ください。
お問い合わせ先
北海道大学大学院保健科学研究院 教授
神島 保(かみしま たもつ)
E-mail:ktamotamo2[at]hs.hokudai.ac.jp [at]を@に変えてください