研究内容
活性酸素の生成は好気性の生活に起因し、脂質、タンパク質、核酸の酸化を生じ、細胞に障害を与えます。通常、生体の酸化レベルは活性酸素産生系と抗酸化物質による消去系のバランスでほぼ一定に保たれていますが、薬物、放射線、虚血などの様々な要因によりこのバランスが崩れ、活性酸素産生系へ傾くのが酸化ストレスです。この酸化ストレスの蓄積が、がん、 動脈硬化性疾患、 虚血/再灌流障害、 慢性関節リウマチ、 糖尿病、 アルツハイマー病やパーキンソン病の神経障害などの様々な疾患や老化の一因であると考えられています。 食品により活性酸素を消去し、これらの疾患の発症や老化の防止に貢献する目的で、抗酸化食品の開発が活発に行われています。
マガキ(Crassostrea gigas)は ウグイスガイ目イタボガキ科に属する二枚貝で、 その生息地は日本を初めとして東アジア全域に及んでいます。近年では、 フランスやオーストラリアでもマガキが養殖されており、 世界で最も食用に供さるカキです。 カキは、栄養価が高いことから古代より食用にされてきたが、 グリコーゲンやタンパク質のほか、 カルシウム、 亜鉛、 セレニウム、 銅、 マンガンなどのミネラルを多量に含みます。 カキ由来の抗酸化物として報告されているのは、酵素性抗酸化物質としてSOD、CAT、GPx、及びPrx6があり、非酵素性抗酸化物質としてはメタロチオネイン、 uncoupling protein 5 (UCP5)、 アスコルビン酸、 α-トコフェロール、 β-カロテンがあります。
当分野は平成22年1月1日に株式会社渡辺オイスター研究所のご寄附により設立し、マガキから生理活性物質の探索と研究を行っております。平成23年度、マガキの抽出物より抗酸化能を測定しながら検索した結果、新規の抗酸化物質、3、5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol (DHMBA)を発見しました。細胞を使って、より詳しく調べたところ、既存の抗酸化物質(ビタミンCやクロロゲン酸)よりも強い抗酸化能があることがわかりました。 現在、DHMBAの様々な生理活性を細胞やマウスを用いて解析しています。
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