北海道大学医学部保健学科/大学院保健科学院/大学院保健科学研究院

概要と教育理念・目的

概要

北海道大学は、大学院に重点を置く基幹総合大学であり、1876年に設立された札幌農学校から現在に至る長い歴史のなかで培われてきた「フロンティア精神」、「国際性の涵養」、「全人教育」及び「実学の重視」という教育研究に関わる四大基本理念の下に、社会に対する説明責任を認識し、21世紀における知の創成、伝承、実証の拠点として発展することを目標としている。

保健科学は、健康者、未病者及び疾病回復者などを対象として身体的・精神的・社会的に健全な生活を維持および増進させるという幅広い概念を含有した「健康」について探求する学際的な学問領域である。北海道大学では、伝統的な学問領域分野で蓄積された研究成果を発展的に継承しながら、先端的・学際的な研究と知識・技術の教授を目的として「学院・研究院」構想を推進している。

この構想の下に、保健科学領域の人材育成を行う教育上の目的から「大学院保健科学院」を、また、研究上の目的から「大学院保健科学研究院」を平成20年4月に設置した。「大学院保健科学院保健科学専攻修士課程」は、北海道大学の四大基本理念を継承しつつ、近年の急速な少子高齢化による人口構成やライフスタイルの大幅な変化に伴う疾病構造の変貌とメタボリックシンドロームや生活習慣病の著増など、保健科学・保健医療上の喫緊かつ多様な課題に的確に対応しうる高度医療専門職者(Advanced Health Professionals)の養成と学術的貢献を行うために、毎年優秀な人材を選別して教育研究を実施している。

しかしながら、急速に変化する保健医療情勢や常に発展し続ける高度先進医療においては、その専門的知識と技術を受動的に学ぶだけでなく、自らの先見性と探求心によって保健科学的立場から新たな問題点を発見してそれを追求すると共に、保健科学研究のリーダーシップをも担って自立的な研究を推進し、その成果を世界に発信する研究能力と後世に伝承する教育能力を備えた人材を将来に亘って継続的に育成することが是非とも必要である。

このような保健医療上及び学問的ニーズに応え、修士課程における教育研究をさらに深化発展させるために、「大学院保健科学院保健科学専攻博士後期課程」を設置することとした。本課程の設置により、人間の健康回復と健康保持増進に貢献する保健科学という学問的体系を確立し、それを発展・継承させる研究者・教育者となるべき人材を育成して、わが国の保健科学領域における高等教育及び学術研究水準のさらなる向上と発展に寄与するものである。

教育理念・目的

教育研究理念

保健科学という学問的体系を確立させ、保健科学の教育研究成果を世界に発信することにより、その成果を人類社会に還元し、人間の健康回復と健康保持増進に寄与することを教育研究上の基本理念とする。

教育目標

  1. 臨床研究マインドと医療管理能力を兼備した高度医療専門職者の育成
    高度医療専門職者としての先進的専門知識と技術を修得し、医療機関や地域社会において保健科学領域各分野での指導力とリーダーシップを発揮して臨床研究を推進し、将来的に医療管理者となるべき人材を育成する。
  2. 保健科学という学問的領域を発展させる研究者の育成
    大学や企業などの研究機関において保健科学におけるオリジナルな研究を独自の視点で追求し、その成果を世界に発信してそれぞれの専門分野における学問的基盤を確立し、発展させることのできる研究者となるべき人材を育成する。
  3. 保健科学の学問的成果を継承させる教育者の育成
    保健科学という学問的領域を発展させるために、大学での学部教育や大学院教育及びその他の高等教育機関において高度な専門的知識と技術を教育研究指導することのできる教育者となるべき人材を育成する。

アドミッション・ポリシー(求める学生像)

  1. 本保健科学院は、保健科学における専門技術を高めると共に、様々な分野の融合と連携を通して、学術的な発展を目指すべく、保健医療系の学部教育を受けた学生のみならず、異なる背景の学問を身につけた学生を受け入れ、地域や文化、国籍を問わず、広く人材を求める。
  2. 本保健科学院の教育理念に基づいた人材育成を図るため、それにふさわしい意欲・学力・創造力・論理性・倫理性・リーダーシップを有する学生を選抜する。

学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)

大学院保健科学院は、本学が掲げる4つの基本理念(フロンティア精神、国際性の涵養、全人教育、実学の重視)の下、保健科学の基礎的素養と高度な専門的素養を身につけた、科学技術の高度化、学際化、国際化等に対応できる多様な知識、判断力および実務対応能力を持つ人材の育成を教育目標としています。
大学院保健科学院では、この目標に求められる具体的な能力を修士課程および博士後期課程の学位授与水準に定め、当該能力を身につけ、かつ所定の単位を修得し、学位論文の審査および試験に合格した者に修士または博士の学位を授与します。

保健科学専攻の学位授与水準

保健科学専攻では、様々な分野との融合と連携により、保健科学分野における研究を遂行し、次世代の保健科学を担う高度医療専門職者および指導者・教育者・研究者の育成を目標とします。保健科学院の教育目標に基づき、具体的に次の能力を持つと認められる者に対し、修士または博士の学位を授与します。

「博士後期課程」

  • 保健科学および関連領域での最新の知識と深い理解
  • 保健科学分野で国際的に活躍できるコミュニケーション能力
  • 保健科学分野での研究課題を発見する能力
  • 保健科学分野の困難な問題解決を可能とする洞察力と柔軟な発想力
  • 保健科学の研究開発に必要な企画力、調整力とリーダーシップ
  • 保健医療専門職者・研究者に必要な高度の研究遂行力と倫理的判断力

教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)

大学院保健科学院保健科学専攻は、学位授与方針に定めた能力を持つ人材の育成を目標として、専門性の高い科目群と領域横断的で学際的な科目群を開設し、複数教員による研究指導体制のもと、以下のとおりカリキュラムを編成し、実施します。
また、高い教育の質を保証するため、FD委員会の企画の下、教員の教育資質を高める教員研修への参加を促すとともに、教務委員会および学生委員会の活動を通し、学修や進路相談等の学生支援、教育制度の評価により制度改革を持続的に進める教学評価を実施します。

「博士後期課程」

  • 自立した研究者に必要となる問題解決力と論文作成方法を取得するため、各科目群において特別研究を開講し、博士論文研究を支援します。
  • 主任指導教員と副指導教員が複数で学生を指導する体制を1年次末までに整えます。
  • 博士後期課程の中間発表会を実施し、指導教員以外もアドバイスすることで、優れた博士論文研究を支援します。
  • 高度なTA・RA業務等を通じて、大学あるいは保健科学の研究開発の場で必要となる優れた教育力とプロジェクト遂行能力の向上を図ります。

博士論文評価基準

1. 基本要件

  1. 博士論文は、博士の学位を申請する者が北海道大学大学院ディプロマ・ポリシー及び保健科学院ディプロマ・ポリシーが求める学力、能力、資質を備えていることを示す十分な学術的価値と高い独創性を有するものでなければならない。
  2. 博士論文は、申請者自身の単著とし、本人以外の論文ないし研究発表の独自性やアイディアを侵害する箇所を含んではならない。
  3. 博士論文は、著作権、肖像権その他の本人以外の権利を侵害してはならない。
  4. 博士論文は、「北海道大学における科学者の行動規範」に則って適正に行われた研究に基づき作成されたものでなければならない。

2. 論文の構成

博士論文は、次の要件を満たす構成とする。

  1. 論文の題目が適切であること。
  2. 研究の背景が記述され、研究目的が明確であること。
  3. 研究方法が記述されており、目的に沿った方法であること。
  4. 結果が図表等を用いて適切に示されていること。
  5. 考察が結果に基づいて適切に導き出されていること。
  6. 目的に対応して結論が適切に導き出されていること。
  7. 引用文献が適切に用いられていること。
  8. 前項までの内容が、適切な章立てにより不足なく含まれていること。

3. 内容

博士論文の内容は、次のような点において評価することが想定される。ただし、どの項目を重視するか、さらにどのような項目を追加するかなどは、審査委員会に一任される。

  1. 研究領域において国際水準での十分な学術的価値を有する。学術的価値とは、未知の事象・事物の発見、新しい分析方法や理論の構築・展開、新しい学問的解釈や概念の創出など、当該分野における学術研究の発展に貢献をなすものを指す。
  2. テーマの選択、ならびにそのテーマに即した研究方法の選択が、先行研究を着実に踏まえて行われており、かつ高い独創性を有するものである。
  3. 選択したテーマと研究方法に従ってデータなどを的確に収集・処理している。
  4. 研究のプロセスに関して詳細に記載されている。
  5. 個々の図や表のデータの分析と解釈が詳細に記載されている。
  6. 論理的に一貫した構成と内容を有しており、高いレベルで完結性を有する。

専攻・コース・コース科目群等

保健科学専攻博士後期課程では、急速に変化しつつある保健医療上の諸問題や高度先進医療の未開発領域における課題を的確に把握し、新しい視点とオリジナルな発想から研究課題を自立的に追求し、指導力とリーダーシップを発揮してその成果を世界に発信して保健科学という学問的領域の確立と発展に貢献し、高度な専門的知識と技術を伝承する医療管理者・研究者・教育者の人材育成を行う。
入学希望者の学問的背景や修了後の進路等を考慮し、教育目的に沿った履修を円滑に進めるために、修士課程と同様に履修上の区分として保健科学専攻博士後期課程においても保健科学コースと看護学コースの2コースを設置する。

1.保健科学コース

保健科学コースでは、修士課程を修了した高度医療専門職者及び栄養学や体育学など保健科学に関連する学問領域の修士課程を修了した者に対する人材育成を行う。

  1. 診療放射線技師や臨床検査技師を対象として、先進的放射線診断と治療システムや次世代画像診断及び臨床検査システムの研究開発者や管理指導者を育成する。
  2. 理学療法士や作業療法士を対象として、リハビリテーション科学における先端的研究と技術開発に従事する研究者や医療管理者を育成する。
  3. 全ての高度医療専門職者を対象として、健康づくりや健康の保持増進に寄与する革新的臨床研究あるいは基礎研究に従事する研究者を育成する。
  4. 栄養士や健康運動指導士などを対象として、医学・医療や健康科学分野でそれぞれの専門性を追求した研究開発に従事する研究者を育成する。
  5. 保健医療系及びそれに関連する学部と大学院教育において、高度の専門的知識と技術について教授し、保健科学を学問的に継承できる教育者を育成する。

2.看護学コース

看護学コースでは、主に看護学系の修士課程の修了者を対象に、多様化・複雑化する医療および看護ニーズの要請に対応できる看護学の理論構築と体系化を推進し、創造的に看護学の発展に寄与する人材を育成する。

  1. 病院等の保健医療福祉施設の管理・運営に参画する看護部長等のトップマネジメントを担うことが期待される看護管理者を育成する。
  2. 地域保健を推進する医療および看護に関連した政策策定に参画する行政ならびに保健組織における看護管理者を育成する。
  3. 看護系大学および大学院において、高度の専門的知識・技術および態度を教授する教育者を育成する。
  4. 看護系大学および大学院または関連する研究機関において、看護学に関する創造的な研究を推進する研究者を育成する。

専攻・課程 コース 科目群(教育研究領域)
保健科学専攻 保健科学コース 先進医療科学
総合健康科学
看護学コース 看護科学

修了要件・学位授与

修了要件

専攻共通科目1科目、コース科目群から2科目及び研究指導科目1科目合計12単位以上を修得し、かつ、本学院の行う博士論文の審査及び最終試験に合格すること。

学位授与

本課程を修了した者に対し、本学学位規程に定めるところにより、博士(保健科学)又は博士(看護学)の学位を授与する。

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