食と健康の情報

No.12 酸化LDLから飛び出す物質

 shokutokenkou_12-1

低比重リポタンパク質(LDL)は様々な酸化ストレスにより酸化変性を受けやすい物質です。酸化LDL はマクロファージを活性化し、マクロファージに貪食され、マクロファージを泡沫化(脂肪滴が細胞に蓄積)します。これが粥状動脈硬化巣の始まりと考えられています。未酸化LDLにはマクロファージを活性化する能力はありません。一方の酸化LDLは、動脈硬化に関係するだけでなく、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)や慢性腎臓病(CKD)などの生活習慣病などにも関係するという報告があります。
私たちは、試験管内でLDLを酸化すると、その過程でごく小さな物質がLDLから飛び出してくることを見出しました。この物質の発見には、私たちの研究室で完成したカーボンナノチューブが活躍しました。この様な物質に関する報告は過去になく、この新規性物質に関して私たちは様々な研究を行ってきました。これまでにその化学組成を明らかにし、細胞への影響も分かってきています。将来は、動脈硬化症を新しい視点から理解し、新しい検査法や治療・予防法につなげたいと期待しています。

 

2016年8月16日

寺嶋 駿、武田 晴治

過去の食と健康の情報

  • No.14 健常者血中の中鎖脂肪酸濃度 (惠 淑萍)
  • No.13 質量分析に必要な二つの物質 (三浦佑介)
  • No.11 非メチレン系脂肪酸 (津久井 隆行)
  • No.10 脳と肥満 (中島進吾)
  • No.9 二つの抗酸化 (上甲紗愛、布田博敏)
  • No.8 化学合成と健康科学 (古川貴之)
  • No.7 イメージング質量分析 (早坂孝宏)
  • No.6 LDLの酸化; 平均的な情報? 個々の情報 (武田晴治)
  • No.5 LDLの酸化 (武田晴治)
  • No.4 マガキとNASHモデルマウス (布田博敏)
  • No.3 マガキと抗酸化物質 (布田博敏)
  • No.2 慢性腎臓病と脂質 (千葉仁志)
  • No.1 異所性脂肪蓄積 (千葉仁志)