食と健康の情報

No.10 脳と肥満

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メタボリックシンドロームいわゆるメタボという言葉が世の中で認知されるようになりました。メタボは高血圧、高血糖、高脂血症など、末梢での代謝異常が問題となりますが、うつ病や統合失調症、アルツハイマー病などの脳疾患の危険因子となることが分かってきています。脳疾患と栄養に関する研究では、ω3系脂肪酸やアミノ酸を中心とした研究が多くなされていますが、今回は神経の発達・分化に重要な脳由来神経栄養因子(Brain-derived neurotrophic factor; BDNF)とその受容体(TrkB)に関連する栄養素について触れたいと思います。油の多い食事が肥満につながることは想像できるかと思いますが、こういった食事を実験動物(マウス)に摂取させ続けると、大脳皮質や海馬などの領域で、BDNF量が減少し、うつ様や不安様の行動を示すようになります。精神衛生面から考えても、適度な食事を心がけた方が良いかもしれません。最近、ある種のフラボノイドや亜鉛がTrkBを活性化するということが報告され、うつ様症状を改善する働きが見出されてきています。こういったBDNF低下の悪影響を改善する栄養素が、肥満による脳機能悪化を防ぐことに役立つのではないかと期待しております。

参考文献:Numakawa T, Richards M, Nakajima S, et al. Front Psychiatry. 2014, 5, 136

 

2016年8月16日

中島進吾

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