食と健康の情報

No.8 化学合成と健康科学

脂質は三大栄養素の一つに数えられているほど重要な生体関連物質ですが、その中には様々なタイプの分子を含んでいます。言わずとしれたビタミンDも脂質の一つですし、中性脂肪(トリグリセリド)やリン脂質・糖脂質なども良く知られた分子です。わたしたちは脂質の量と疾患の関係(診断法への応用)や脂質の新たな機能の解明(創薬への展開)を目指し、化学合成を基盤技術として研究を行っています。

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 一例としては、病気になったときに脂質の量がどのように変化するのかを精密に調べるためには、天然には存在しない形の標準物質が必要です。しかし、そのような物質は市販されていないため、自分たちで合成し調製するしかありません。
また、非天然型の分子は思いがけない生理活性を示すこともあります。そのような類縁体(似ているけれど天然型とは違う)をたくさん用意することが出来れば、お薬としての可能性のみならず新たな生物学的な知見を得られる可能性もあります。
化学合成は日本のお家芸で多くのノーベル賞学者を輩出してきた分野です。長きにわたって蓄積されてきたノウハウを生かして、健康に寄与する新たな分子を作り、探し続けています。

 

2016年8月16日

古川貴之

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