食と健康の情報

No.4 マガキとNASHモデルマウス

shokutokenkou_4

近年、日本でも肝臓に脂肪(滴)が蓄積する疾患が増えてきました。この疾患は肝臓に脂肪沈着のみを認める単純性脂肪肝と肝臓に壊死・炎症や線維化を伴う脂肪性肝炎に大きく分かれます。非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は肝障害を惹起する程度のアルコール摂取歴がなく、肝炎ウィルス感染もなく、肝臓の組織で壊死・炎症や線維化を伴う脂肪性肝炎を認める疾患です。NASH患者の25-33%がより深刻な肝硬変へと進行します。
我々はマガキ抽出物から新規の抗酸化物質を発見しました(「マガキと抗酸化物質」参照)。この新規の抗酸化物質を高濃度含むマガキ抽出物をヒトのNASHの疾患によく似ているモデルマウス(NASHモデルマウス)に与え、その影響を観察しました。
まず肝臓における脂肪(滴)の蓄積量を測定したところ、通常のマウスの肝臓とほぼ同じ脂肪(滴)量であることがわかりました。このほかに予想外の結果も得られました。上記の写真のようにNASHモデルマウスが丸々と太っていたのに対し、マガキ抽出物を与えたNASHモデルマウスはほっそりとした形態になりました。毎週1回体重測定を行っていたのですが、マガキ抽出物を与えたNASHモデルマウスは摂餌6週目よりみるみる体重の減少が見られました。体重減少のみならず、インスリン抵抗性の改善も観察されました。体重減少とインスリン抵抗性の改善は本当に予想外でした。

 

2016年8月16日

布田博敏

過去の食と健康の情報

  • No.14 健常者血中の中鎖脂肪酸濃度 (惠 淑萍)
  • No.13 質量分析に必要な二つの物質 (三浦佑介)
  • No.12 酸化LDLから飛び出す物質 (寺嶋 駿、武田 晴治)
  • No.11 非メチレン系脂肪酸 (津久井 隆行)
  • No.10 脳と肥満 (中島進吾)
  • No.9 二つの抗酸化 (上甲紗愛、布田博敏)
  • No.8 化学合成と健康科学 (古川貴之)
  • No.7 イメージング質量分析 (早坂孝宏)
  • No.6 LDLの酸化; 平均的な情報? 個々の情報 (武田晴治)
  • No.5 LDLの酸化 (武田晴治)
  • No.3 マガキと抗酸化物質 (布田博敏)
  • No.2 慢性腎臓病と脂質 (千葉仁志)
  • No.1 異所性脂肪蓄積 (千葉仁志)