食と健康の情報

No.3 マガキと抗酸化物質

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マガキにはグリコーゲンやタンパク質のほか、カリウム、亜鉛、セリウム、銅、マンガンなどのミネラルを多量に含んでいることが知られていますが、抗酸化物質の報告はほとんどありませんでした。そこで、我々は活性酸素消去能力(ORAC)法を指標にマガキの抽出物から液液抽出やHPLCなどを用いて、分画・精製を行った結果、上記のようなフェノール性の新規の抗酸化物質を発見しました。次に既存の抗酸化物質と比較しながら、マガキ由来の抗酸化物質の性状を観察しました。
試験管内での物質の抗酸化能は通常、ORAC法で測定されます。ガキ由来の抗酸化物質におけるORAC値は1.47(μmol TE/μmol)と既存の代表液な抗酸化物質であるクロロゲン酸の約1/3と低い値でした。測定後、心底がっかりしたことを覚えています。そこで、気を取り直し、細胞を使った抗酸化能の測定を行いました。この方法は酸化すると蛍光を発する試薬(DPPP)を使い、細胞に添加して標識します。細胞には抗酸化物質を加えた後、細胞をDPPPで標識し、酸化剤を使って酸化しました。その結果、マガキ由来の抗酸化物質を加えた細胞では、濃度依存的に酸化が抑制されることが観察されました。しかもクロロゲン酸と比較して、高い酸化抑制能を有していることが判明しました。これは予想外の結果で、マウスを用いた実験(「マガキとNASHモデルマウス」参照)の原点となっています。

 

2016年8月16日

布田博敏

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