北海道大学 大学院 保健科学研究院 健康イノベーションセンター 高度脂質分析ラボラトリー/細胞代謝化学研究室

食と健康の情報

No.14健常者血中の中鎖脂肪酸濃度

脂肪酸には、炭素数の違いにより、炭素数6以下の短鎖脂肪酸、8-10の中鎖脂肪酸、 12-20の長鎖脂肪酸、炭素数22以上の極長鎖脂肪酸に分類されます。中鎖脂肪酸(Medium chain fatty acid;MCFA)は動物油脂にはほとんど含まれず、ココナッツオイルや母乳、牛乳、チーズなど乳製品に含まれています。

中鎖脂肪酸は通常の長鎖脂肪酸と異なり、エネルギー産生に利用されやすく、体脂肪として蓄積しにくいと考えられています。中鎖脂肪酸は、アメリカでは1950年から、日本では1960年代から栄養補給などの医療用途に活用されてきました。一方、食用油として中鎖脂肪酸を含む脂肪(中鎖脂肪酸トリグリセリド、或いは中鎖中性脂肪、MCT)が登場したのは2003年頃からです。最近ではMCTがダイエットや認知症予防によい油として急速に普及しています。

中鎖脂肪酸は揮発性が比較的高いために正確な測定が困難でしたが、高度脂質分析ラボラトリーではその方法を確立しました(特願2013-224897)。本法を利用し、絶食した健常者グループ(n=5、 男性/女性=3/2、 年齢 31±9.3歳)、 および絶食しなかった健常者グループ (n=106、男性/女性=44/62、年齢21.9±3.2 歳)の血中総カプリン酸濃度(FA 10:0)を測定しました。結果として、カプリン酸は絶食したグループでは検出限界以下(0.1 ㎛ol/L)でした。一方、絶食しなかったグループでは、カプリン酸は106人中50人が検出限界以下でしたが、検出された56人のカプリン酸濃度は0.62±0.3 ㎛ol/Lでした(Shrestha R. et al. Ann Clin Biochem, 52:588-596, 2015)。ヒト血中中鎖脂肪酸の一種であるカプリン酸の濃度を明らかにしたのは今回が初めてと思われます。今後も「食と健康の情報」で中鎖脂肪酸の研究成果を報告したいと思います。

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2017年4月25日

惠 淑萍

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